県全体で起業家を育てようとする「StartupWeekendOkinawa」

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 2013年3月22日(金)〜24日(日)に行われた「StartupWeekend Okinawa」を、東京に住むTechライターの鈴木さんにレポートしてもらいました。
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rin2tree 鈴木です。今回は私の方から先日行われた「StartupWeekend Okinawa」について、レポートさせていただきたいと思います。

|■StartupWeekend Okinawa
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 開催場所は沖縄科学技術大学院大学、シーサイドハウス。ここは、目の前が海だし、宿泊施設も兼ね備えていてとても開放感あふれる沖縄らしい場所で、いるだけでテンションがあがっちゃいました。環境って大切ですよねー。

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 特に、はじめて話す人達との場において、環境における影響は大きいと思うので、Okinawaのこの環境は、心を開放的にさせるすばらしい環境だと思います。現に人見知りの私が、いつも以上にいろんな人とお話してましたw。

 StartupWeekend (以降:SW)でどんなことをやっているのか?などの具体的なプログラム内容については、こちらのブログがとても詳しいのでこちらを参照してみてください。
(※こちらのレポートは前回のレポートになります)
 ・Startup Weekendドキドキの1日目レポート!
 ・Startup Weekend Okinawa、怒涛の2日目&歓喜の3日目レポート

 SWOkinawaを知ってはいるけど、いまいち参加する勇気がない方からすると、どんな人が参加されているのか?気になるところかと思いますので、私からはSWOkinawaに参加している人に焦点をあてて、レポートを書いていきたいと思います。

 

|■SW Okinawaの参加者属性
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 SW Okinawaの開催は2回目となります。今回の参加者の属性はこんな感じです。
 ・参加者数:46人
  ┗女性比率:約20%
  ┗海外比率:約20%

<海外比率が高い>
 SW Tokyoとの比較になりますが、英語比率が高かったイメージです。米、中国、マダガスカルなどなど・・・、日本以外の国籍を持った方の参加が東京よりも多かったです。半数が海外の方というチームもありました。同じ「人脈を広げる」でもSW Okinawaでは世界的な人脈を作れるのは一つの魅力だなって思いました。
 今回は会場や、宿泊施設などを無償提供いただいた沖縄科学技術大学院大学(OIST)での開催だったこともあるかもしれません。英語ができない方はハードルがあがるように思うかもしれませんが、翻訳してくれる人がたくさんいるから大丈夫ですよー。
※沖縄科学技術大学院大学(OIST)は5年一貫制の博士課程を置く大学院大学です。教員と学生の半数以上を外国人とし、教育と研究は全て英語で行います。

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<ノリがいい>
 半数以上の人が初日にピッチをしたように思います。それは、最初にピッチをしようと思っていた人が多いのではなく、初日のファシリテーターの「とにかくピッチしてみたほうがいい」という言葉にのせられて、とりあえずピッチしてみた。という、失敗を恐れずにアクションをできる人が多かったのではないかと感じました。
 東京だと「失敗すること」を恐れて、行動に移せない人が多い気がします。お昼ご飯の会話も、最後のプレゼンも、全体を通して、とにかく「ノリ」がよく、参加していてとても楽しい空間でした。

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<起業を目指している人だけじゃない>
 今回何人かの方にSWに参加した目的をヒアリングしてみました。参加目的としては、
  ・起業をしてみたいと考えているため
  ・新規事業担当なのでビジネスに活かすため
  ・自分の強みを再確認するため
  ・刺激が欲しいため
  ・前回チームビルディングに失敗したから次は成功させたいと思ったため
  ・作りたいサービスがあったから
  ・人と一緒に何かをするということに慣れてなかったのでその訓練
  ・54時間で起業の何がわかるのか?確認しにきた
 など・・・

 私がヒアリングした中には、現在起業しているひと、または本気で「起業するため」という方はいませんでした。起業に興味があって、いずれしてみたいが、何をしていいのかわらない。という方が多かったイメージです。SWのページには

主役はいつかなにかで起業したいと考えている会社員の方やフリーランスの方、すでに起業しているけどもう一度スタートアップしてみたいなと思っている方です。

と書かれていますが、決して「起業」を志す人だけが対象だとは思いません。SWOkinawaに関しては、「起業を真剣に考えている人」というよりも、参加することをきっかけに、ちょっとした刺激や、何か新しいことにチャンレンジ・行動することへのきっかけを求める場になっているのかなと、思いました。そして、そんな目的の人にピッタリだとも思いました。なので、ちょっとした刺激や、新しいことにチャンレンジ・行動することへのきっかけを求めている方は、是非参加していただきたいと思います。

 

|■SWに参加して得られること
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 SWに参加して得られることについて、ヒアリングをベースに、私なりにまとめてみました。

<人脈>
 SWに参加して得られたことは?という質問で、一番多かった回答はこの「人脈」です。今はSNSがあるため、ここでの出会いは継続されます。今回の出会いをきっかけに、Facebookでつながることで、SWが終わった後もその人の生活や興味を知ることができます。そして、どこかのタイミングで起業をする際の仲間になるかもしれないし、起業をする際に相談に乗ってくれる相手になるかもしれません。起業しなくても、SWでの働き振りをみて仕事の発注がくるかもしれないし、仕事で困ったときの相談相手になるかもしれません。

 SWに集まった人達は、目的意識の高い人たちばかりで、かつ普段では出会うことのできない背景(住んでいる場所、国籍、年齢、職業)をもつ人が多いので、予想もつかない発展が生まれることでしょう。また出会うのは、参加者だけではなく、運営スタッフ、メンターや審査員としてきているプロの投資家の方もいらっしゃいます。メンターや審査員は東京で活躍されている方が多いため、そういった方(東京の人、プロの投資家)と知り合うことも地方で行われるSWに参加するメリットかと思います。また、沖縄の場合は泊まり込みでメンターが参加されているため、質問できるチャンスがたくさんあります。

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 チャンスは人を介してやってきます。発信することで自分のやりたいことを人が理解し、繋がっている人の数だけ、それに関連する話しが舞い込んでくる確率があります。私を例にすると、このSWOkinawaをお手伝いするきっかけとなったのは、Facebookでの「地方に連れて行ってくれる仕事募集中です」というつぶやきです。そして、SWの関係者と繋がっていたからこそ、沖縄のイベントに関われるチャンスが舞い込んできました。人と繋がれば繋がるほどチャンスのやってくる確率はあがります。いろんな人と繋がることは、チャンスをつかむための必要条件なのだと思います。

<いつもの日常では気づけない気付き>
 SWは違う背景をもった人が集まることで、普段では気づくことのできない自分の強みや足りないものなどを客観的に把握することができます。自分のソーシャルグラフには似た人間が集まるものです。その中では「あたり前」だった事が、ほかの人にとってみたら「すごく強み」だったりします。

 例えば、学生の子は「自分はまだ学生で提供できるものが何もないので、他の方の胸をかりるつもりで参加しましたが、●●の分野では自分が一番詳しかった。学生の自分でも他の人にない強みがあることがわかり、自信になりました。」と言っていました。また、20代OLの女の子は「会社で働いているだけでは気づくことができなかった、チームをうまく回す中での自分の役割(得意なこと)を把握することができました。」と言っていました。参加することで、必ず普段では気づくことのできない「気付き」を持ち帰ることができると思います。
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|■SWに参加して学べること
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 学べることに関しては、ヒアリングベースではなく、自分なりの考えになります。

<スタートアップとして抑えなければいけないポイント>
 前項にも書きましたが、SWには参加者とオーガナイザー以外に、メンターと呼ばれるスタートアップに関する様々なアドバイスをしてくれる人、そして最終プレゼンを審査してくれる審査員がいます。2日目には、メンターにアドバイスを受ける時間が設けられ、そこではスタートアップとして抑えておかなければいけないポイントについて、次々と指摘されます。例えば
 ・それを必要とするユーザはいるのか?それはどのぐらい必要としているのか?
 ・具体的なユーザの利用シーン、モチベーションは?
 ・どのぐらいのマーケット規模なのか?スケールのイメージは持っているか?
 ・ユーザをどのように獲得していこうと考えているのか?
 ・競合サービスはあるのか?あるとしたらその差別化要素は?
 ・ビジネスモデルはどのように考えているのか?
などです。ここでの指摘・質問は、最終日のプレゼンでの評価軸でもありますが、ピッチや、投資家へのプレゼンでも抑えておかなければいけないポイントにもなるので、とても勉強になります。もちろん、最終プレゼンでの審査員からの指摘・質問も同様です。

 ちなみに、SWでの評価基準は以下の3つで行われます。
 ・CUSTOMER VALIDATION(顧客開発)
  ┗自分たちのアイデアは仮説ではなく、マーケットニーズの検証ができているか
 ・BUSINESS MODEL(ビジネスモデル)
  ┗お金がもうかる仕組みが考えられているか?
 ・EXECUTION(実現性)
  ┗サービスとして実現可能かどうか。動くものが作れているか?

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<仕事で必要になる要素>
 SWのプログラムは、スタートアップとしてだけでなく、一般的な仕事で必要になる要素もとても多く含まれています。そのため、企業の新人研修などにも活用できると思います。例えば、
 ・数ある発表の中で選ばれるための「プレゼンの仕方」
 ・チームで何かを作り上げる際の「チームワーク」「リーダシップ」の大切さ
 ・時間内に形を残すための「タイムマネージメント」「タスク割り振り」
 ・アイデア検証のための「マーケットリサーチ」
 ・ヒアリングや、チーム内に必要とする技術がない際に外部に頼める「人脈」の大切さ
などです。54時間で一つのサービスの「ビジネスプラン」「サービス検証」「プロトタイプ作成」「発表」をすることは、仕事で必要になる、様々な要素が含まれています。

<アクションすることの大切さ>
 SWではPDCAサイクル(plan-do-check-act)を何度も回します。まずはじめの「do」は、1枚の紙にマジックでアイデアを書き、その場で仲間を集うことです。これは、やる気さえあれば誰でもできることです。仲間が集まるかどうか?が「check」になり、チームができたらさらにいいプランをねりはじめることになります。そして次の「do」はマーケットリサーチです。自分たちだけの独りよがりな考えではなく、マーケットニーズがあるかどうか?調べに行きます。54時間しか時間がないことで、このサイクルを異常に速く回さなければいけないため、アクションする回数が増えます。

 大きな企業で何ヶ月もかかってサービスを作っている人たちから見たら、このスピード感は目から鱗なぐらい、カルチャーショックをうけそうです。そして、翌日からの仕事の仕方がかわるんじゃないか?とも思います。動き出さなければわからないこと、机を囲んで話し合っているだけでは何も先に進まないという体験がここにはあります。「54時間で何ができるんだ?」なんて思っている方へ。まずは参加することで「do」して、自らの体験で「check」して感じてみてください。それが最初のPDCAサイクルです。

 

|■SWOkinawaだけの良さ!
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 今回参加させていただいて感じたのは、沖縄全体の一体感です。そして環境の良さ!他の地域ではなかなか得られない体験が「SWOkinawa」にはあると思っています。だから、東京のみなさまにもSWOkinawaに来て欲しい!

 幸いなことに、LCCができて沖縄への移動コストは劇的に変化しました。繁忙期でなければ、片道6,000円~9,000円ぐらいでいけちゃいます。移動時間も成田⇒那覇:約3時間/那覇⇒成田:約2時間です。SWOkinawaの参加費は、地域全体でバックアップされているため、2泊3日、7食付きで5,000円(当日払い5,500円)です。航空チケット込でも3万円以内で参加できてしまいます。そのへんの沖縄ツアーよりも全然安いんです。

 ここからは、SWOkinawaならではの良さについて感じたことをお伝えしたいと思います。

<県全体で盛り上げている一体感>
 今回のスポンサーは、「沖縄セルラー電話株式会社」「オリオンビール株式会社」「新垣ちんすこう」「株式会社沖縄バヤリース」など県を代表する企業さまばかりで、単なるイベントという小さな枠ではなく、地域全体で盛り上げようというバックアップを感じました。そのため、宿泊施設や飲み物、Beer、お菓子などいろいろな物資が支給され、5,000円(当日払いは5,500円)という低単価でイベントが実施できたのだと思います。
 また、「トーマツベンチャーサポート株式会社」「株式会社レキサス」「琉球インタラクティブ株式会社」「01Startup.LLC」といった起業家を育てることを応援する企業さまからもご支援いただきました。

 地域に根付いた企業様だけでなく、「OIST」はメインスポンサーとして、「琉球大学」の教授などもオーガナイザーとして参加いただくなど、教育現場からもお手伝いいただいていました。
 そのほか、オーガーナイザーとして参加いただいた「株式会社レキサス」「琉球インタラクティブ株式会社」「株式会社オーシーシー」の方々は、前回(12月)のSWOkinawaに参加いただいていた方が多かったからか、参加者の立場にたった配慮をいたるところで感じました。また、参加者の方とも積極的に交流し、参加者だけでない人のつながりの広さがまたいいなと思いました。

 私もスタッフとしてお手伝いし、こういったオーガナイザーの方々とお話させていただきながら感じたことは、県全体で起業家を育てようとする文化が沖縄には根付きつつあるということでした。

 このような沖縄の動きが、他の地域でも実施できたら、日本はもっと変わっていくのではないでしょうか。一つのモデルケースとしてとてもいい形が出来ていると思うので、地域をもりあげようとがんばっている他の地域の方々にも、是非参加してみてほしいなっと思います。

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<とにかく環境が良い!>
 かんづめ形式の合宿は、密な時間を過ごせるというメリットがありますが、長時間を過ごすぶん心配なのが「食事」と「落ち着ける場所があるかどうか」だと思っています。この2点が悪いと長時間一つのことに集中することは難しいと思うためです。

 食事のメニューは以下のとおりでした。結論からいうと、美味しすぎて食べ過ぎてしまいましたw。
  1日目の懇親会:ピザ+Beer(もちろんオリオンビール!)
  2日目の朝食:ジューシー(沖縄風炊き込みご飯)のおにぎり
  2日目の昼食:カレー+デザート
  2日目の晩食:お弁当
  3日目の朝食:サンドイッチ(+沖縄バヤリースの飲み物も)
  3日目の昼食:沖縄そば+サーターアンダーギー
  3日目の晩食:ケータリング+Beer(もちろんオリオンビール!)
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 ランチは必ず暖かい食べ物で、なにより、外で海をみながら食事することがとてもリフレッシュになりました。沖縄県外の人には「ジューシー」や「沖縄そば」など、沖縄ならではの食べ物を食べられるのも嬉しい配慮ですね。提供されるドリンクも沖縄らしさ全開ですw。
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朝食もよかったです。協賛企業さまからの差し入れの飲み物も一緒でした。
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 宿泊施設は、初めて会う人との相部屋ではありますが、チーム以外の方と仲良くなれてとてもよかったです。設備はホテルと同等レベルで、インターネット接続は有線でできるし、タオルも歯ブラシも毎日取り替えてくれます。トイレもセパレートでシャワールームもついてます。何より窓を開けると海、海、海!
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 3日間、とてもいい環境で、いろんな方と出会うことができ、いろんな気づきをもらいました。そして、何より楽しかったです。参加したみなさま、スタッフのみなさま。ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。次回も是非、参加したいと思います。

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<ライター:鈴木まなみ@Rin2tree)>
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現在はフリーランスで活動し、TechWave塾改め「TheWave湯川塾」の事務局を行う一方で、サービスの企画、ディレクションや、位置情報・O2O関連の執筆・講演を行っている。著書は「O2Oビジネス調査報告書(インプレスR&D)」など。また、リクルートが行っているウェブアプリ開発コンテスト「Mashup Awards8」の事務局、位置情報業界を盛り上げるためのフリーカンファレンス「ジオメディアサミット」の運営手伝いなど、いろんな地方で展開するイベントの事務局もしている。